今年の夏、日本で話題となるのは、やはり東京で行われるオリンピックでしょう。
オリンピックと言えば100m走などの花形競技が注目されますが、それほど脚光を浴びない競技もあります。そんな競技をたまたまテレビで見て、予想外にも興奮のあまり見入ってしまったという経験をされたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もしかすると今年のオリンピックでもそんな体験ができるかもしれません。ここで、イチオシなのが「マラソンスイミング」という競技です。その名の通り、「スイミング=水泳」の競技の一種になります。他の種目と唯一異なる点と言えば、競技場がプール施設ではなく、海で設定されていることです。つまり、マラソンスイミングとは、まさに海の上で10km完泳を目指しタイムを競い合うという競技になります。日本でもそのような類の競技は遠泳として存在しますが、競技の種目に設定されているわけではありません。オリンピック種目のひとつであるマラソンスイミングは、国際水泳連盟が定めた競技規則に基づき展開されます。
マラソンスイミングがオリンピック種目に初めて起用されたのは2010年の北京オリンピックになります。2012年のロンドンオリンピックでは日本人として初めて男子の平井 康翔選手と女子の貴田裕美選手が出場しました。男女それぞれ25名の選手が出場する中、平井選手は15位、貴田選手は13位という結果に終わりました。さらに2人はリオデジャネイロオリンピックにも出場を果たします。出場選手の数はロンドンオリンピックに同じでした。気になる結果ですが、平井選手は8位、一方の貴田選手は12位でした。参加するたびに少しずつ順位を上げている2人ですが、今年の東京オリンピックにも出場する予定です。「どんな結果が待ち侘びているのか?」、今から興奮してしまいます。
そんなマラソンスイミングですが、水泳競技としてはマイナーな種目として認識されがちです。実際のところ、世界的にはとても人気があるスポーツで、上位入賞者は欧米の選手が占めています。そんななか、2人の日本人選手は厳しい境遇下で出場権を勝ち取ったとも言えます。
10kmをひたすら泳ぎ続けるマラソンスイミングに充てられる競技時間は2時間程度です。海の中を泳ぎ続けるわけですから、時にはクラゲの大群に遭遇し、クラゲに刺されるという災難に見舞われることもあるでしょう。以上より、マラソンスイミングにおいてはタフさが求められています。
マラソンスイミングは陸上競技のマラソンと同様、給水を必要とする競技です。給水時には、同行するボートから水が手渡されます。陸上競技のマラソンでは風がレースに影響します。いポ王のマラソンスイミングですが、強い波中を泳ぐわけですから、そのタフさが陸上競技のマラソンとは違ったものであることは理解できます。さらに、水温によってはレースに影響が及ぶことも想定されます。
ゴールまでのデッドヒートは特に白熱する瞬間です。例えば、リオデジャネイロオリンピックで8位に終わった平井選手とトップのフェリー・ウェールトマン選手(オランダ)との差はわずか4.8秒でした。東京オリンピックではどんな結果となるのか予想がつきません。タフでマイナーな競技ですが、そんな競技だからこそ自ら切り開いていきたいと平井選手は発言しています。今年の夏が楽しみですね。