抜けるような青い空、広がる青い海、色とりどりのアイスクリームを口にする金髪の女の子たち。そして、サーフボードを片手に歩く褐色のサーファーが口ずさむのは、そう「サーフィンUSA」です。
ビーチボーイズの音楽は、憧れのアメリカ西海岸のイメージそのものです。覚えやすいメロディー、美しいハーモニーがまるで煌くカリフォルニアの陽光のように降り注いできます。彼らの音楽自体がまさしく「エンドレス・サマー」なのです。
サーフミュージックの頂点へ
1960年代初頭、ベンチャーズなどの登場とともに若者の音楽として人気を博したサーフミュージック。そこに現れたのがビーチボーイズでした。彼らが大手キャピトルから最初に発売したシングル「サーフィン・サファリ」は、瞬く間にヒットチャートを駆け上がり、全米14位を記録しました。彼らの作る曲は他のアーティストにはない高度な音楽性を内包し、そしてそのハーモニーの美しさはずば抜けたものでした。彼らがサーフミュージックの頂点に立ったのも当然のことだったのです。
ビートルズの登場と「ペットサウンド」
しかし、ビートルズの登場とともに、アメリカの音楽界に大きな波が到来します。イギリスから瞬く間に世界的なアーティストに上り詰めた彼らの音楽は、サーフミュージックを駆逐していきました。だが、ビーチボーイズだけは違いました。彼らはビートルズの革新的な音楽に対抗できるアメリカ唯一のバンドとして残り続けたのです。そして1966年、アルバム「ペットサウンズ」を発表。当初、商業的な成功を収めることはできませんでしたが、そのアルバムは後に史上最高のロックアルバムのひとつとして殿堂入りすることになります。