今回から名称をシンクロナイズドスイミングからアーティスティックスイミングと変え、心機一転となったこの競技は、日本がメダルを期待されている競技の一つでもあります。

しかしこの競技は、日本にとって栄光に包まれながらも、常に失望も味わってきた競技でもあります。それは日本がこれまで獲得した総メダル数が14個と、世界のどの国よりも多いのにも関わらず、金メダルを未だ一度も取ったことがないというのが理由です。

日本| シンクロナイズドスイミング| チームテクニカル| オリンピックの資格(リオデジャネイロ)

あと一歩、日本は世界の頂点に届いていないのです。そうアーティスティックスイミングには絶対的な王者がいるのです。2000年シドニー大会からデュエットとチーム、両種目でオリンピック5大会連続、年数で言うと20年に亘り勝利を続けるロシア代表が、アーティスティックスイミング界には君臨しているのです。

ロシアの東京オリンピック参加禁止

しかしここにきて大きなニュースが飛び込んできました。WADA(世界アンチドーピング機構)は、ロシアが組織的なドーピングをおこなっていたとして今後4年間の国際大会への参加を禁止したのです。

Japan synchronised artistic swim team 2019

これによってロシアから2020年東京オリンピックに参加できるのは、厳しい条件を潜り抜けた選手のみ。しかも個人としての参加になるため、国の代表とはみなされなくなります。アーティスティックスイミングに関しては、デュエットへの参加可能性は残りますが、チームはかなり難しいと言われています。

日本がメダルを争うその他のライバルたち

ロシアがもし参加できなかったとしても、だからといって日本のメダルへの道は簡単なものではありません。オリンピック2大会連続で銀メダルに甘んじた中国は健在ですし、そして新たにウクライナが台頭してきました。今年2019年におこなわれた水泳世界選手権では、全てのオリンピック種目で日本はウクライナに敗北。世界選手権でのオリンピック種目メダル獲得0は、2013年バルセロナ大会以来のことでした。

こういったライバルの突き上げにより危機感を募らせる日本チーム。そのチームを率いるのは、長年チームを指導してきた井村雅代。そして彼女は最大のライバルとなった中国が、アーティスティックスイミングで台頭するための礎を築いたその人でもあります。

自身が育てた中国に、挑戦者として臨む井村と日本チーム。でも、だからこそ自国開催となるこの東京オリンピックで、彼女とチームが初めての金色のメダルを掲げる姿を見たいと、誰もが願っているのです。

artistic swimmer female
画像 veronika szappanos から Pixabay